心守歌

中島みゆき( MIYUKI NAKAJIMA ) 心守歌歌詞
1.囁く雨

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

囁く雨に身じろぎもせず
ただ さよならを全身で聴いている

泣いてしまいたかった 人目を気にせずに
あいつが泣いてしまった それで泣きそびれた
通り過ぎる人々が2人をそっと盗み見る
ずるいよね あたしには引き際を飾る花もない
囁く雨に身じろぎもせず
ただ さよならを全身で聴いている

わかってないよね あたしには母性本能なんてないんだから
いたわって微笑んで終りなんておとぎばなしにゃならないからね
「ぶん殴ってしまえば?」と やきもき雨がそそのかす
「いつまでもあいつに良く思われていたい嘘つきね」
囁く雨に身じろぎもせず
ただ さよならを全身で聴いている

囁く雨に身じろぎもせず
ただ さよならを全身で聴いている


2.相席

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

あいかわらずね この店のマスター 客をちゃんと見ていない
初めてここにふらり入った雨の夜も同じだった
待ち合わせかと間違えられて あなたの隣に座った
あなたは黙り 断りもせず 私を見もせず 立ち去りもせずに

誰かに感謝をするのなら あのマスターに言わなきゃね
2人が忘れてしまっても あのマスターがわかるでしょう

あいかわらずね この店のマスター 客をちゃんと見ていない
2人でいつも通い続けた短い日々も同じだった
他人同士と間違えられて 離れた席に座った
あなたは笑い 知らぬふりして 彼女におごりたいと私を見た

誰かに感謝をするのなら あのマスターに言わなきゃね
2人が忘れてしまっても あのマスターがわかるでしょう

あいかわらずね この店のマスター 客をちゃんと見ていない
つらい話を切り出しかねて歩き疲れたみぞれの夜
奥の席へと気をきかされて 私1人だけがうなずいた
あなたは黙り 言い訳もせず 凍えた背中で きびすを返した

誰かに感謝をするのなら あのマスターに言わなきゃね
2人が忘れてしまっても あのマスターがわかるでしょう
2人が忘れてしまっても あのマスターがわかるでしょう


3.樹高千丈 落葉帰根

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

見知らぬ土地へ流れてゆく心細さをたとえるなら
幹から遠くなるほどに 次第に細くなってゆく枝葉
私はどこまでゆけるでしょう 空まで昇ってゆくかしら
それともつらい冬が来て 望み叶わずに散るかしら
樹高は千丈 遠ざかることだけ憧れた
落ち葉は遙か 人知れず消えてゆくかしら
いいえ どこでもない 枝よりもっと遙かまで
木の根はゆりかごを差し伸べて きっと抱きとめる

それぞれ離れてゆく枝は つかのま触れてはまた離れ
風のしわざと知りつつも 諦めきれずに振り返る
私は独りが嫌いです それより戦さが嫌いです
それゆえ違う土地へゆき 懐しがろうと思います
樹高は千丈 遠ざかるしかない者もある
落ち葉は遙か 人知れず消えてゆくかしら
いいえ どこでもない 枝よりもっと遙かまで
木の根はゆりかごを差し伸べて きっと抱きとめる

いいえ どこでもない 枝よりもっと遙かまで
木の根はゆりかごを差し伸べて きっと抱きとめる


4.あのバスに

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

あのバスに乗らなけりゃならないと急いでいた
立ちふさがる雨傘 押しのけてとび乗った

選ぶほどたくさんのバスがあるわけじゃないから
目の前に来たバスに乗ることだけ考えた
精一杯に急いだと 肩で息を継ぎながら
押しのけたあの傘の中に自分がいた気がした
あのバスに乗らなけりゃならないと急いでた

あのバスの行く先を見もせずに急いでいた
見飽きた枝の下を 駆け抜けてとび乗った

後ろが見えなくなる角を曲がってしまったなら
何もかも風景が新しくなるはずだった
ミラーの中 遠ざかる古い樹は切り倒され
角を曲がり見たものは 数えきれない曲がり角だった
あのバスの行く先を見もせずに急いでた

精一杯に急いだと 肩で息を継ぎながら
押しのけたあの傘の中に自分がいた気がした
あのバスに乗らなけりゃならないと急いでた
あのバスに乗らなけりゃならないと急いでた


5.心守歌

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

崩れゆく砂を素手で塞きとめるような
長い1日の後 語るあてもなく
風よ味方になってよ 心折れる夜は
遙か彼方をゆく汽笛を運んでよ
果てしなく横たわる枯草を揺らして
かすれた昔語り 思い出させてよ
遙かな愛しいあの人に
悩みのない寝息があればいい
風よ 心のかかとに翼をつけて
どんな彼方へも ひと晩で行って戻れ

目をつむればいつでも膝の傍らを
風に揺れる野バラの枯れ枝がつつく
凍る石の褥にひとり目を覚ませば
ほつれかけた上着の裾が風を聴く
遙かな愛しい人々に
悩みのない寝息があればいい
風よ 心のかかとに翼をつけて
どんな彼方へも ひと晩で行って戻れ
風よ 心のかかとに翼をつけて
どんな彼方へも ひと晩で行って戻れ


6.六花

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

広い空の中には 罪もけがれもある
広い空の中には 何もないわけじやない
広い空の上から さまよい降りて来る
泣いて泣いてこごえた 六つの花びらの花
六花の雪よ 降り積もれよ
白く白く ただ降り積もれよ
六花の雪よ 降り積もれよ
すべてを包んで 降り積もれよ

すさぶ大地の下で 花は眠っている
吹きつける北風の 子守歌聴いている
広い空の上では 手紙がつづられる
透きとおる便箋は 六つの花びらの花
六花の雪よ 降り積もれよ
白く白く ただ降り積もれよ
六花の雪よ 降り積もれよ
すべてを包んで 降り積もれよ

六花の雪よ 降り積もれよ
すべてを包んで 降り積もれよ


7.カーニヴァルだったね

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

気がつけばしたたかに飲んだくれ 祭の街で
道のほとりに身をさらばえて 歌う宵宮の歌
見渡せばいつの間に 道を知る友とはぐれて
酒の鏡に夜を映して 探す北斗七星
注がれる酒に毒でもあれば今ごろ消えているものを
何故ここにいるのだろう
カーニヴァルだったね

気がつけばしたたかに飲んだくれ 痛む頭を
赤子のように撫ぜられている 何を話したのだろう
身の上を知ればこそ明かせない悲しみもある
通りすがりの人なればこそ言える罪状もある
愚かな望み 愚かな暮らし 愚かな悔いの繰返し
罪さえも抱きしめて
カーニヴァルだったね

注がれる酒に毒でもあれば今ごろ消えているものを
何故ここにいるのだろう
カーニヴァルだったね


8.ツンドラ・バード

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

お陽さまと同じ空の真ん中に
丸い渦を描いて鳥が舞う
あれはオジロワシ 遠くを見る鳥
近くでは見えないものを見る
寒い空から見抜いているよ 遠い彼方まで見抜いているよ
イバラ踏んで駈け出してゆけば
間に合うかも 狩りに会えるかも

あの丸い渦の真下のあたりは
必ず獲物が潜んでいる
獲物は潅木に紛れてくぐる
オジロワシには全部見えている
寒い空から見抜いているよ 遠い彼方まで見抜いているよ
イバラ踏んで駈け出してゆけば
間に合うかも 狩りに会えるかも

目を開けた夏には真夜中の色
翼とも呼べない尨毛(むくげ)玉
独り巣立つ冬は雪雲の色
翼は霙(みぞれ)で斑(まだら)になる
ツンドラの鳥は見抜いているよ 遠い彼方まで見抜いているよ
氷踏んで駈け出してゆけば
間に合うかも 過去に会えるかも

幾つもの冬を通り越す毎に
オジロワシの羽根は白くなる
最期の冬には雪よりも白く
やがてはお陽さまに溶けてゆく
ツンドラの鳥は見抜いているよ 遠い彼方まで見抜いているよ
氷踏んで駈け出してゆけば
間に合うかも 明日に会えるかも

間に合うかも 生きているうち会えるかも


9.夜行

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

夜起きてる奴に ろくな奴はいないと
言われなかったか 子供だった頃に
日暮れどきにねぐらへ帰ってゆかない獣は
みんな獰猛な種類だと
どんなに心優しくても 口下手な奴なら
きっと後ろめたい何かあるに違いないと決められる
夜行の駅で泣いているのは みんなそんな奴ばかり
夜行の町を生きてゆくのは みんなそんな奴ばかり

夜さまよう奴は まともな帰り先がないせいだと
憐れみを受けている
ふところに入れた手は凶暴な武器を隠しているに
違いないと見られる
本当は 散りそうな野菊を雨から隠してる
わざと胸をあけてバカをやって凍えきって風邪をひく
夜行の駅で泣いているのは みんなそんな奴ばかり
夜行の町を生きてゆくのは みんなそんな奴ばかり

本当は 散りそうな野菊を雨から隠してる
わざと胸をあけてバカをやって凍えきって風邪をひく
夜行の駅で泣いているのは みんなそんな奴ばかり
夜行の町を生きてゆくのは みんなそんな奴ばかり
夜行の駅で泣いているのは みんなそんな奴ばかり
夜行の町を生きてゆくのは みんなそんな奴ばかり


10.月迎え

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

月を迎えに出かけませんか 部屋を抜けておいでなさい
月は意外と今の季節にとても近くに降りてくる
何かが足元をすり抜けて走る
生き物が足元くすぐって逃げる
見覚えがあるでしょう 自分の影だもの
寝巻と裸足で丘の上に着けば
先ゆく影が くるり振り返るよ
月を迎えに出かけませんか 部屋を抜けておいでなさい

月を迎えに出かけませんか 身体抜けておいでなさい
月の光は傷にしみない 虫の背中も痛まない
月は山の縁(へり)を離れたときから
少しずつふやけて空いっぱいになる
さわってみたかった かじってみたかった
同んなじ望みで月を見上げるのは
隣の谷から来た 小さいカナヘビ
月を迎えに出かけませんか 身体抜けておいでなさい


11.LOVERS ONLY

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

街じゅうが今夜だけのために 何もかも変わろうとする夜
ほんのひと月前の別れも 昔のことと許される夜
幸せにならなきゃならないように 人は必ず創られてると
あの日あなたに聞いたのに
Merry Xmas, Merry Xmas 恋人たちだけのために
Merry Xmas, Merry Xmas すべてのドアが出迎える
Merry Xmas, Merry Xmas 1人ならどこへ歩こう
Merry Xmas, Merry Xmas 白い息が行方に迷う
街じゅうが 今夜だけのために 何もかも変わろうとする夜
ほんのひと月前の別れも 昔のことと許される夜

本当の愛だけが この夜までに結ばれるのが真実だよと
あの日あなたに聞いたのに
Merry Xmas, Merry Xmas 恋人たちだけのために
Merry Xmas, Merry Xmas すべての傷は癒される
Merry Xmas, Merry Xmas 今夜の願いごとは叶う
Merry Xmas, Merry Xmas 愛のためにすべてが変わる
街じゅうが今夜だけのために 何もかも変わろうとする夜
ほんのひと月前の別れも 昔のことと許される夜

Merry Xmas, Merry Xmas 恋人たちだけのために
Merry Xmas, Merry Xmas すべてのドアが出迎える
Merry Xmas, Merry Xmas